2025/1/22
ナノバブル(ウルトラファインバブル)には殺菌効果があることが知られています。多くは、殺菌効果を有するオゾンなどのバブルで殺菌効果の有効性が示されていますが、水素封入ナノバブルでは検証が行われていませんでした。
そのため、今回は神戸学院大学の栄養学部の共同研究において、シンバイオシス株式会社が開発し、特許を取得した技術で製造したナノバブル NanoGAS®️を用い、水素封入ナノバブル(水素 NanoGAS®️)水とオゾン封入ナノバブル(オゾン NanoGAS®️)水の殺菌効果を懸濁試験にて検証しました。
【検証方法】
黄色ブドウ球菌(S.aureus), 大腸菌(E.coli)をそれぞれ1,000 CFU/mLの濃度で調整した菌液0.1mLを、水素、オゾンNanoGAS®️水 (原液), 注射用水(Injection Water: IW), 生理食塩水(Saline)のそれぞれ0.9mLに懸濁し、懸濁直後の懸濁液を平板培地に2枚に塗布(0.1 mL/枚)した。懸濁後は37℃で反応させ、懸濁1,3,6,9時間後に同様に平板培地に2枚に塗布した。全ての平板培地は37℃で培養し、E.coliは24時間、S.aureusは48時間で細菌数のカウントを行い、細菌生存率を以下の式を用いて算出しました(培地2枚の平均値を採用)。
【結果・考察】
図 E.coliの細菌生存率(左)とS.aureusの細菌生存率(右)の経時的変化
(#, p<0.01 compared with exposure to saline; *, p<0.05 compared with exposure to IW. Data are expressed as the mean ± S.E.M (n = 3-5). N.D.:Not detected.)
封入気体に関わらず、水素、オゾンNanoGAS®️水の両群において、 E.coliは6時間でIWと比較し有意に細菌生存率が低下し、S.aureusは3時間でIW,Salineと比較して有意に細菌生存率が低下しました。
今回の結果は、他の研究報告と比較すると殺菌効果を発揮するまでの時間が長くなりました(Yamaguchi et al., 2021)。他報告と比較するとNanoGAS水のナノバブル個数は少なかったため、懸濁法におけるナノバブルの殺菌力はバブル個数濃度に依存する可能性が考えられます。また、一般的にナノバブルの殺菌効果は封入気体の影響が大きいとも考えられていますが、今回の条件においては殺菌効果を持たない水素封入の水素NanoGAS®️水においても殺菌効果が認められたことから、37℃環境で細菌が活発になったことでバブルと接触する機会が増加し、バブル自体の圧壊及びそれに付随するエネルギーにより、殺菌効果が得られた可能性も考えられます。
ナノバブルの殺菌に対する圧壊、封入気体、ROS(活性酸素)発生などの関連は更なる研究が求められます。
【論文情報】
Morishita R, Itoh S, Takeda-Morishita M. (2022) Biocontrol Sci. 27, pp. 139-142.
Evaluation of Bactericidal Effects of H2– and O3-filled Ultrafine Bubbles Water.
https://doi.org/10.4265/bio.27.139